40代に入ると急に体力の衰えを感じませんか?
介護業界には様々な職業の人達が転職してくるのですが、案外多いのが飲食業界から流れて来る中高年。
面接で転職理由を聞くと、「ワンオペ運用についていけなかった」だとか「ブラックでパワハラな業界から逃げたかった」って本音が見え隠れする。
私の同僚にも、元飲食店店長って40代がいるから分かるような気がするんです。
飲食から介護に転職した理由はワンオペ当たり前の世界
現在は特別養護老人ホームで生活相談員をしている48歳男で、前職は大手外食企業で管理職をしておりました。
しかし、連日のサービス残業と月間の休日が平均3日から4日の過酷すぎる環境に耐えられず10年前に介護職に転職。
介護職に就く前は、誰もが知っている大手ファミリーレストランチェーンの店長をしておりました。
職域は多岐にわたっており、従業員の採用から教育・品質の管理・売上管理などが主な業務。
一つの小さな店舗を任されるやり甲斐は確かにありました。
自分の考えや想いをすぐに店舗に反映することが出来、それがお客様に伝わると「ありがとう」「美味しかったよ」とありがたいお言葉をかけて頂けます。
その部分では、それなりに楽しくやれていたのかもしれません。
しかし、それ以上に失うものが多かったのが事実。
勤務時間は朝の仕込みから夜の閉店作業までに及び、自宅に帰ると深夜になっていることなどは当たり前。
未だに、昔ながらのイケイケ精神が根強い業界だったため、休みを取ろうものなら周囲から妬まれる職場環境。
ブラック企業など当時は言葉もありません。
結婚し、子供が出来てからもろくに家庭に関わることが出来ず、仕事が終わって帰宅すると既に子供は就寝中。
当時ほとんど子供と遊んだ記憶がありません。
最終的に嫁からも嫌味を言われることが多くなり、家族の理解を得られない仕事なのかなあと感じ始めておりました。
飲食から介護に転職する際に職業訓練校でハマった40代
過酷すぎる職場環境に加え、給与の安さ、家族の理解を得られないとくれば、いくらやり甲斐があっても長くは続かないものですよね。
当然、私も40歳を迎えたころに転職を意識し始めました。
外食業界を思い切って飛び出したはいいが、次にやる仕事を全く考えていません。
この時は、外食業界から逃げ出すことばかり考えていたので、今から考えたら向こう見ずだったと猛省しています。
子供がまだ小さく、嫁も働けない状況。
私が唯一のメシの種だった為、とにかく正社員にこだわって就活しておりました。
立ち寄ったハローワークの正社員募集は、専門の経験や技術を要するものばかりで私には応募資格すらありません。
この時は本当に路頭に迷い、前職を辞めたことにめちゃめちゃ後悔。
貯金なんてあるわけもなく、失業保険も残りわずかとなりました。ほんとに焦りましたね。
そんな中、ハローワークが主催する「ヘルパー2級講座」に参加。
それまでの私は介護の経験は全くなく考えてもいない業界でしたが、講座終了後は「ヘルパー2級」資格が得られ、就職の斡旋までしてくれるありがたい話でした。
参加費も無料だったため、参加しない手はないと軽い気持ち。
授業が始まると、あっという間に介護の世界に引き込まれてしまいました。
まさに「ハマった」って感じです。
実習では利用者様から感謝されまくりで、こちらが恐縮してしまいました。
「大した知識も経験もないのにあんなに感謝してくれて申し訳ない、こりゃあもっと勉強して本当の意味で感謝されよう!」と感じ、介護を生業に選びました。
飲食から介護へ転職する際はサイトに登録して情報収集
ハローワークの講習が終了した後、ハローワーク経由で就職を斡旋してもらうことができました。
しかし、私は独自で活動をしてみたくなり、地元の施設やデイサービス、訪問の事業所を中心に就職活動を行いました。
なんかちょっと簡単な講習に出て、介護に関して分かったつもりでいたのかもしれません。
調子に乗ってしまったわけです。
一口に介護といっても様々な業態があり、業態ごとの特徴もそれぞれあります。
有り金が底をつきそうで、すぐに就職しなければならない切迫した状況とは知りながら、まずは自分にとってどの介護業態が一番合っているのか分析から始めました。
まずはジョブメドレーに登録し、ネットでそれぞれの特徴について調べる作業も行いました。
同じ介護といっても、これだけ仕事の内容や給料が違うのかと驚きました。
同時に、どの施設も人材不足でとても苦しんでいる現状が段々見えてくる私。
「面接の前にまずは施設見学をさせて頂き、施設や仕事の内容や条件が合えば面接します」とかなり上からで偉そうな洗礼も受けました。
そんなスタイルでも、人員不足なのか施設側は本当に快く、親切に接して頂きました。
実際に職員さんが利用者様に接している風景が見られたのは施設選びのよい判断材料になりましたね。
結局、利用者様の接し方がその人の人間性を表しているのですね。
隠しても出てしまうものです。最後までその偉そうなスタイルを貫き通し、無事、地元のデイサービスに就職できました。
飲食から介護に転職して思いを届けれる理想の職場と理解
私の場合、前職は時間に追われ、金に追われ、顧客に追われの胃が痛くなる緊迫した職場。
そんな別世界の人間が、介護の世界に転職するとびっくりするのではないでしょうか?
まず、時間がとてもゆっくり流れます。
ご利用者様一人一人の生活リズムにこちらが合わせる為、必然的にゆっくりとなります。
今で言う「個別ケア」や「寄り添い介護」がこれにあたります。次に、商人根性の「金勘定」が公で行われていません。
「福祉は食い物じゃない」との考えが、根付いているから。
その半面、大変さは周知の事実。
私も暴れるご利用者様に何発殴られたか分かりませんし利用者様から頂いた手作りのお団子が、ご自分の便でできていたりと無茶苦茶な思いもしました。
それでもサラリーマン時代に培ったサービス精神が、ここでは確実に生きてきます。
今まで組織の中で評価されることがなかった「頑張り」が跳ね返ってくるようになりましたね。
良かれと思ってやったことや、その人を想うあまりに取った行動が正解なのです。
それがそのままその人の「評価」につながります。
そんな些細な頑張りで評価されるのでしたら、毎日どんどんやっちゃいますよね?
また、資格至上主義の業界なので、勉強すればするほど給与が上がり様々な役職を狙うこともできます。
これは企業内スキルではなく、立派な市場スキルです。
全くの素人で、介護の「か」の字も知らなかった私が、無一文で業界に入り早10年、今では特別養護老人ホームの主任生活相談員についております。
仕事柄様々な人から入所についての相談や、在宅での介護の仕方などの悩みを伺います。
ご利用者様や家族の笑顔を見ると、本当に転職して良かったと心から思います。
とどのつまり、人生経験なのです。サラリーマン時代の経験は確実に生きております。
介護の世界はまだまだ人材不足であり、閉鎖的ですが異業種からの転職者が増えてゆくことが介護業界を盛り上げてゆくきっかけとなるのは間違いありません。
ブラックすぎる業界が辛すぎて飲食から介護に転職した話
- 連日のサービス残業でワンオペの飲食店店長は過酷すぎた
- 職業訓練校でヘルパー2級を取得し介護にハマった
- 少しでも快適に働きたく転職サイトで探しまくった
- 思いや頑張りが必ず誰かに届く業界