特養って3Kの代名詞みたいな介護施設ですが、皆さんはいかがお感じでしょうか?
僕自身、祖母が特養に入っていたので何度か通いましたが、最後まで慣れませんでしたね。
ハッキリと言えませんが、有老とは違う特養の独特の雰囲気が苦手でした。
私が知る限り、介護士の間で特養はキツイ・厳しいとの意見があがりますが、ここにひとり特養が楽だと言い張る人物がいたので今日は話を聞いてみることにしましょう。
特養は普段忙しい職場だが入居者がいなければめちゃ暇
こんにちは。
少し前まで、特養老人ホームで5年間ほど働いていた山本と申します。
現在、介護福祉士の資格を持っている34歳の男です。
今はある事情により介護業界を離れ違う仕事をしていますが、特養で働いていたころは忙しいながらもやりがいのある充実した日々を送っていました。
皆さんが抱く介護職のイメージってどんなものですか?
「忙しい!」これにつきますよね。
それはたぶん間違っていません。
私が働いていた特別養護老人ホームも、基本的にはかなり忙しかったです。
食事の介助に、おむつ交換、ゴミ出しをして、掃除をして、やっとひと段落して、ケア記録を書こうとパソコンの前に座ったらケアコールで呼ばれトイレのをお手伝い。
それが終わってパソコンの前に戻ろうしたら、また別の方からのケアコール。
日勤にしろ、夜勤にしろ、常に時間に追われ、時間どおり休憩に入れないことは日常茶飯事。
思い出しただけで忙しい気分になってきますね。
でも、めちゃくちゃ楽な介護現場もあるんですよね。
正確には、めちゃくちゃ楽な時期があるといったほうが正しいかもしれません。
私が働いていた老人ホームは忙しかった、と書きましたが、従事していた5年間の間が常に忙しかったわけではありません。
介護職の経験がない方は、あまり信じられないかもしれませんが、めちゃくちゃ楽だった時期も実はありました。
なぜなら、介護職の仕事量は どんな方が入居されているかによって大きく左右されるからです。
そりゃそうだけど、入居者は、そんなコロコロ変わるわけじゃないじゃん。
普通の感覚であれば、そう思うのも仕方ありません。
特養は忙しいが飽きて暇を持て余すようになりむしろ苦痛
老人ホームに入居されているかたは、転居や死去により、けっこうなペースで入れ替わります。
時期によっては、ほとんど介護職らしい仕事がないなんてことも。
私が介護のお仕事をしていて一番楽だった時期は、入社して2年目の春ごろで定員20人のフロアに、15名の入居者様のみしかいらっしゃらなかった時。
亡くなられたり、転居されたりで、定員割れ状態でしたが 、新しい入居者様との契約も追いつかず、しばらくはそういった状態が続きました。
しかも、入居されている15名の方も重度な認知症の方はほとんどおられず 、身体的にも自立されている方が多かったので余計に楽だったんですよね。
食事介助が必要な方が2名、おむつ介助が必要な方が3名程度で、一番忙しい時期でも、食事介助の方が6名、おむつ介助の方が10名。
また、重度の認知症の方も多数おられ、廊下や部屋に排せつ物がまき散らされていることもしょっちゅうでした。
そう考えると、この時期がいかに楽かわかりますよね?
この時期はもうとにかく暇です。
2時間くらい、気の合うおじいちゃんと話し込んでいても怒られることはありませんし一緒にテレビを見ているだけの日もありました。
最初は仕事ないし、ラッキー!くらいにしか思いませんが、そのうち暇すぎるのもつまらなくなってくるんですよね。
暇なことにも飽きてきたころ、介護職員がすることは掃除と装飾。
これ、介護職のあるあるなんじゃないでしょうか?
暇な介護現場は、どんどんキレイになっていき、装飾がめちゃくちゃ豪華になっていきます。
まあ、老人ホームを利用したい方はたくさんいるので、こういった状態は長く続かないんですけどね。
でも、現在の老人ホームは、入退所や転居が多く、半年もすれば入居者がガラリと変わり、仕事量が激変することも珍しくはありません。
ボーっと立っているだけの時間帯が、一日のうちに何度もあり、こんなんで給料もらっていいのか?マジで悩みました。

特養は忙しいが年収は暇とボーナス込みで360万円
5年目の年収額面は、ボーナス込みで360万円くらいでした。
1年目は340万円くらいでしたが毎年昇給していきましたし、介護福祉士の資格を取得したら手当も付きワクワク感はありましたね。
私は独り身ですので、余ったお金はある程度自分で使うことができました。
将来のことを考えて、決まった金額を貯金するとやはり贅沢三昧とはいきませんが、たまに友達と飲みに行ったり、映画を見たり 好きな服を買ったりと、人並みのお金の使い方はできました。
半年に1回くらい楽器を買ったり、友達と旅行に行ったりと、10万円くらいの出費をすることもありました。
介護のお仕事は安い安いと言われていますが、一人で生活する分には困ったことは一度もありません。
ただ、中には金使いがかなり荒く、生活していくのが難しい職員ももいましたね。
同僚だった女性なんですが、高価なブランド物が好きで、 高そうな財布やアクセサリーをしょっちゅう買っていました。
その人は「お金がない」 とよく言っていましたが、それだけ高い買い物をしたらそりゃお金も無くなりますよね?
独身であれば、よほどお金使いが荒くないかぎり、ふつうに好きなことにお金を使いながら安定した生活ができますよ。
ただ、結婚している人はさすがに介護職の収入だけでは厳しいようでした。
ほとんどの方が共働きでしたし、みなさん節約家。
それでも、子供がいて自家用車も持っていて、幸せそうな方が多かった印象です。

特養は忙しいが感謝され喜びを感じたらやっていける
慣れないうちは排泄ケアがめちゃくちゃキツくて、食事介助も最初のうちはすごく怖くて手が震えるひともいます。
でも、介護を必要とする人のお役に立てて、感謝もされて、その人の生活を、より良くすることに携われるんですから、めちゃくちゃすばらしい仕事だと思いませんか?
えっ?嘘っぽいですか?
でも私は心の底からそう信じています。
じゃあ、なんで介護職が不人気で、離職者もこんなに多いのか?
それは、人によって感じ方が違うからです。
すごく当たり前なことを書きましたが、これが事実です。
私は、施設で5年間働く中で、いろいろな職員を見てきましたが、感じ方は本当に様々です。
初出勤の日、排泄ケアの指導中に嘔吐し次の日に来なくなった人も見てきました。
一方で、ケア中に便が手についてしまっても、笑顔で「洗ってきまーす」と言ってあまり気にしないひともいます。
感じ方が違うから、キツイと感じるひともいれば、そう感じない人もいるんですよね。
中でも、入居者様に感謝されたときの感じ方には、 かなり違いがあります。
あまり何も感じない人もいれば、嬉しくて また頑張れる人もいます。
感謝されてもあまり何も感じない、仕事は生活するためだけの生業だと考えている人にとって、 やはり介護はキツイ仕事ではないでしょうか?
しかし、感謝されることに喜びを感じ、それを都度エネルギーに変えられる人にとっては、全くキツクないお仕事です。
入居者様を心身ともに支え、寄り添うことで 生活がよくなっていく。
そこに喜びを感じ、パワーが湧いてくるひとにとっては、この仕事は非常にやりがいがあるし、すばらしいと思えるはずです。
特養は忙しいがタイミングによっては楽な職場だった
- 特養は忙しいで有名だが入居者がいなければ暇な施設
- 暇すぎるのも辛く感じ掃除ざんまいの日々
- 慣れないうちは排泄ケアに苦労した
- 仕事が辛くても「ありがとう」の一言で癒される
